堅調な地合い、壁に突き当たる

ビットコインは主要なコストベーシスを上回る水準を維持し、利益確定も限定的だが、ETFへの資金流入は細り、取引高は低水準にとどまり、8.5万〜8.55万ドルの売り注文の壁が価格の上値を抑えている。

堅調な地合い、壁に突き当たる

エグゼクティブサマリー

  • 米国現物ETFには、9月下旬の2日にわたってそれぞれ約10億ドルが流入した。その後は資金流入が細り、価格は横ばいで推移している。
  • 利益確定は過去の天井時と比べて小規模にとどまっているが、今週は長期保有者が売りを強めた。
  • 直近30取引日では、ビットコインがS&P 500を上回った日の方が多いが、今週は株式よりも大きく下落した。
  • 8.5万〜8.55万ドルの売り注文の壁が価格の上値を抑えている。下値では、7.72万ドルの真の市場平均(True Market Mean)が最初のサポートとなる。
  • 総取引高は米国現物ETFの上場以来のレンジの下限付近にあり、今回の上昇はまだ初期段階の投機的なものにとどまっている。
  • アルトコインは過去1カ月、過熱感や新たなレバレッジをほとんど伴わずにビットコインを上回ったが、今週はその上昇が足踏みした。

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ETFの買いが鈍化

突出した2日間、その後は先細り

ETFの買いは9月21日と9月22日にピークを迎え、米国現物ETFの純流出入(US Spot ETF Net Flows)は両日ともに約10億ドルを記録した。このうち1日目は、ほぼ1年ぶりの大きさだった。その後、資金流入は取引日ごとに縮小し、データ上の最新日である9月28日には2,400万ドルとなった。この間、価格は横ばいで推移した。

先週の本レポートでは、ETFの買いが増えつつあると述べた。ファンドは現在も買い続けているが、そのペースはあの2日間のごく一部にすぎない。資金流入があのペース近くまで戻れば、ETF需要の回復を示す最も明確な兆候となるだろう。

ETFへの資金流入は、ほぼ1年ぶりの大きさの日を記録した後、細っていった
ライブチャート

限定的な売り、新たな売り手

過去の天井を大きく下回る

過去のサイクルと比べて、利益確定は限定的なままである。コインの持ち主が替わる際に確定するドル建ての純利益を示す週次の純実現損益(Net Realized Profit/Loss)は、2024年と2025年の天井時における平均的な週を大きく下回っている。今回の上昇局面でのそのペース(チャート右側の帯)は、2023年後半の前回の上昇トレンド初期(左側の帯)に近い。

ただし、売り手は変わった。コインを155日超保有している長期保有者は、9月29日までの1週間に、ブレイクアウトの週と比べて実現利益をほぼ倍増させ、実現利益全体に占める彼らのシェアは34%から55%に上昇した。週次の利益確定が過去の天井時の水準に向けて増加すれば、保有者が上昇局面で売りに回っていることを示すだろう。

週次の利益確定は2024年と2025年の天井時と比べて小規模にとどまっている
ライブチャート

株式に対する短期的な優位

30取引日で見れば堅調

直近30取引日では、S&P 500が下落した日のビットコインの反応は、上昇した日よりも小さい。チャートではこのパターンを緑色で示しており、8月20日以降続いている。この期間には、まだ8月の上昇局面が含まれている。

今週、この優位は後退した。9月22日から9月29日にかけて、S&P 500の下落率1.2%に対し、ビットコインは2.9%下落し、同指数が下落した日には指数よりも大きく下げた。8月の取引日が計算期間から外れるにつれて緑色の期間が赤色に変われば、株式に対する優位は失われることになる。

8月下旬以降、S&P 500の下落日に対するビットコインの反応は、上昇日よりも小さい
ライブチャート

取引日ベースで勝ち越し

ビットコインは、直近30取引日の半数超でS&P 500を上回ってもいる。この割合は9月24日に、5月中旬以来初めて半数を超えた。

その差はわずかで、負ける取引日が数日あれば再び半数を下回る。10月に入っても半数を上回る状態が続けば、この優位が短期的な連勝以上のものであることを示すだろう。

S&P 500に対してビットコインが上回った取引日の割合が半数を超えた
ライブチャート

頭上の壁

8.5万ドルに積み上がる売り注文

先週の本レポートでは、8.4万ドルを維持すべき水準として挙げた。その後、価格はこの水準をわずかに下回り、現在はBinanceの現物オーダーブック上の売り注文の壁が上値を抑えている。

この壁は8.5万ドルから8.55万ドルの間にある。9月24日に出現し、その後規模は3倍に拡大した。価格は壁の下半分まで食い込んだが、一度も突破していない。

これらの注文が残っている限り、この壁が最も重要な水準となる。8.55万ドルを持続的に上抜ければ、オーダーブック上で最大のレジスタンスを突破することになる。

8.5万ドルから8.55万ドルの間に並ぶ売り注文は3倍に増えた
ライブチャート

下値のサポート

直近の買い手は含み益

保有期間が155日未満のコインの平均取得価格である短期保有者のコストベーシス(Short-Term Holder Cost Basis)は、7.33万ドルにある。価格はこれを約13%上回って推移しており、直近の買い手は含み益の状態にある。

2023年と2024年の上昇トレンドでは、価格は数カ月にわたってこのラインを上回って推移した(チャートの緑色の部分)。再びこれを下回れば、2026年上半期の大半と同様に、直近の買い手は再び含み損を抱えることになる。

価格が短期保有者のコストベーシスを上回り、直近の買い手は再び含み益に
ライブチャート

真の市場平均を上回る

価格は9月18日以降、アクティブな投資家の平均取得価格の推計値である真の市場平均も上回って推移している。真の市場平均は7.72万ドルで、価格を約8%下回っている。

2023年から2025年にかけて、真の市場平均と短期保有者のコストベーシスの両方を上回っていた期間は、上昇トレンドの中でもより力強い局面と重なっていた(チャートの緑色の部分)。まず注目すべきサポートは真の市場平均であり、日足の終値で再び7.72万ドルを下回れば、現在の局面は終わることになる。

ビットコインは真の市場平均を回復した
ライブチャート

価格に遅れる取引高

取引は低調なまま

先週の本レポートでは、現物取引高が8月の安値から2倍超に拡大したと指摘した。この回復は非常に低い水準から始まったものだ。現物取引所と米国現物ETFを合わせたビットコインの総取引高は1日平均約64億ドルで、ETFの上場以来のレンジの下限付近にある。

これほど取引高が乏しい中での今回の上昇は、依然として初期段階の投機的なものであり、幅広い需要はまだ到来していない。価格が真の市場平均を上回る水準を維持しながら取引高が持続的に増加すれば、上昇トレンドがより幅広いサポートを得つつあることを示すだろう。

ビットコインの取引高は依然として低調で、今回の上昇トレンドはまだ初期段階にある
ライブチャート

アルトコインは一服、レバレッジは様子見

高い資金調達率を払うコインはわずか

過去1カ月、アルトコインはビットコインを上回るパフォーマンスを示し、上位500銘柄の大半が30日間でビットコイン以上に上昇した。今週はその上昇が足踏みし、30日高値にあるアルトコインの割合は9月22日の49%から6%に低下した。

この動きを通じて、レバレッジは控えめなままだった。無期限先物の資金調達率(Funding Rate)は、ポジションを維持するためにどちら側が支払っているかを示し、中立水準である0.01%を上回るレートを支払うコインの割合が高いことは、ロングへの賭けが過密になっていることを示す。現在、中立水準を上回るレートを支払っているアルトコインはわずか19%で、チャートに示された過去のすべてのアルトコインの天井時の割合をはるかに下回っている。

中立水準を上回る資金調達率を支払うアルトコインはごく一部で、過去の天井時を大きく下回る
ライブチャート

含み損から抜け出す保有者

今回の上昇は、アルトコインの保有者を深い含み損から引き上げつつある。アルトコインの中央値で見ると、含み益で保有されている供給の割合(Percent Supply in Profit)は8月中旬の3%から23%に上昇しており、1年超ぶりの急上昇となっている。

アルトコイン保有者の大半は依然として含み損を抱えており、2021年と2024年のピーク時に見られた幅広い含み益の状態とはほど遠い。中央値が半分を上回れば、回復が大半の保有者に及んだことを示すだろう。

アルトコインの投資家は依然として含み損だが、急速に回復している
ライブチャート

ポジションは増えていない

建玉(Open Interest)も同じことを示している。アルトコインの無期限先物の未決済ポジションの価値は、過去30日間でドル建てでは増加したが、コイン建てでは減少した。増加は価格の上昇によるもので、トレーダーは新たなポジションを積み増していない。上段パネルのアルトコインの現物取引高は8月以降に持ち直したものの、2024年と2025年のピークを依然として大きく下回っている。

コイン建てでポジションが積み上がらない限り、強制的な巻き戻しのリスクは低いままである。

アルトコインの建玉はドル建てで増加したが、コイン建てでは減少した
ライブチャート

結論

ビットコインは、まだ幅広い参加を集めていない初期の上昇トレンドにある。オンチェーンのサポートは維持されているが、ETFの需要は冷え込み、現物取引高は低水準にとどまっている。価格の上にある売り注文の壁が、目先の試金石となる。取引高の増加を伴い、ETFへの資金流入が戻る中でこれを上抜ければ、上昇トレンドの広がりが確認されるだろう。横ばいの価格の中で長期保有者の売りが強まるか、日足の終値で7.72万ドルの真の市場平均を下回れば、上昇トレンドは弱まることになる。アルトコインは新たなレバレッジを伴わずに上昇に加わっており、これが強制的な巻き戻しのリスクを抑えている。

データ時点:日次のオンチェーン指標とETFフローは2026年9月28日、S&P 500と長期保有者の利益は2026年9月29日、時間足の価格、取引高、資金調達率、Binanceのオーダーブックは2026年9月30日。直近の日次データは今後修正される可能性がある。

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